婆様
わぁが子供の頃は、オヤジが北海道で稼いでいで、
爺様どかっちゃがぶどう畑で働いでで、婆様が家事ばやってあった。
したはんで、わぁの世話もほとんど婆様。
学校がら帰れば
「腹減ったべ?これかなが(食べなさい)」っていつも作ってけだ「味噌おにぎり」
近所の年上のガキ大将グループさいじめられであった時、
飛んできて、「このつぼけ!!」って叫んでけだ。
就職で盛岡さ行った時、
「まま、ちゃんと食ってらな?」ってむったど電話してけだ。
結婚式の日はもう寝たきりさなってで、言葉も喋らいねがったばって、
式の前に病院さ行ったっきゃニコニコ笑ってあった。
娘が産まれで見せにいったっきゃ、娘の足ば何回も何回も撫ででけだ。
81歳で亡ぐなった時は本当にショックであった。
通夜の日、夜中まんでわぁのけやぐ達が付き合ってけで飲んだんだばって
みんな帰った後、弟ど二人で声ば出して泣いだ。
わぁの従兄弟さ、医者さなったのがいるんだばって、
人の生死さむったど立ち会ってるその従兄弟が、
火葬場で泣き崩れで、参列者の涙ば誘ってあった。
婆様っ子のわぁは、嫌だ事、困った事があれば婆様の言葉っこば思い出す。
「たっく、ままちゃんと食って、まみしぐしてれば、いづがいぐなるね〜」
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